気になったのでまとめてみる。
前提として、環境中に元々ヒ素はかなりある。
自然環境中や生物体に広く分布し、どの試料をとって分析しても、すべてにヒ素が検出される。
ヒ素の毒性についてはこの辺。
3価の無機ヒ素は生体細胞酵素の活性部分に存在するチオール基(SH基)と高い親和性をもち,酵素の活性を阻害し,強い生体毒性を示す。5価の無機ヒ素はSH基との親和性が弱く3価ヒ素より毒性が弱いと考えられている。一般 に有機ヒ素化合物の毒性も無機ヒ素より弱いといわれている。
で、ヒジキについては、
- ヒジキの砒素は危険?英国食品企画庁が摂食中止を勧告
(http://www.botanical.jp/library/news/132/)
民間には、ヒジキの含有砒素は60%が有機の砒酸塩(arsenate)、20%が無機の亜ヒ酸塩.(arsenite)という研究報告(Fukui et al., 1981)(未確認)などがあります。また海水に含有する砒素(0.001-0.008 mg/l)の3分の1から半分は、亜ヒ酸という研究(Andreae, 1978, Johnson, 1972)(未確認)もあります。
ということで、無機のヒ素が、亜ヒ酸塩が多い可能性があるということらしい。英国FSAの発表にもあるが、他の海藻では有機ヒ素として蓄えているが、なぜかヒジキだけは無機ヒ素で蓄えているらしい。
じゃあ、実際にどの程度危険かということになると、
- 厚生労働省の発表 ヒジキ中のヒ素に関するQ&A http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/07/tp0730-1.html
摂取量の数値は平均化しすぎて怪しいのだが、
とのこと。少なくとも表面化した健康被害はないと。
- 日本生協連のプレスリリース ヒジキに含まれるヒ素についての「Q&A」〜食べ過ぎなければ大丈夫です〜(http://www.co-op.or.jp/jccu/Press_Release/Press_040804_01.htm)
結構まとまっててわかりやすい。
無機ヒ素には催奇形性や妊娠障害を起こす作用が知られていますが、これらの毒性は、母体に毒性が現われる程度の摂取量で現われるとされています。したがって、ヒジキを多食したことによる健康被害がないのであれば、胎児への影響もまずないと考えられます。
ということで、とりあえずあまり心配しすぎる必要はないんだろう。
さらに、
水戻し、水洗いを念入りにしていただけば、無機ヒ素はある程度減らせると考えられます。ヒジキを30分以上水戻しすると無機ヒ素がかなり溶出するという報告があります。
だそうな。
この報告ってのは、
- 松永和紀のアグリ話●英国発ヒジキの発がんリスク、どこまでホント?(http://biotech.nikkeibp.co.jp/fs/kiji.jsp?kiji=199)
にでている
今年5月の日本食品衛生学会講演要旨によると、市販の干しヒジキには、有機ヒ素の一種であるアルセノシュガーや無機ヒ素の一種であるヒ酸が含まれており、ヒ酸が全ヒ素量の約50%を占めているとされている。大島さんらは、干しヒジキ5gを20倍量の水に室温で30分間浸してから、その水を分析したところ、ヒジキに含まれるすべてのヒ素の30〜50%が水に溶け出しており、その約90%がヒ酸だったという。つまり、ヒジキを料理するときのごく一般的な手順によって、無機ヒ素の少ない、安心できる「おかず」に変わっているのだ。
なのかな。実際には無機ヒ素としての摂取量はそれほど多くない可能性も高いのかなと。
で、私なりの結論としては
・今まで食べた分について過剰に心配することはない
・食べすぎない程度に。
ってとこかな。
ちなみに、最初のイギリスの発表
- プレスリリース(英文) http://www.food.gov.uk/news/newsarchive/2004/jul/hijiki
- 日本語版プレスリリース http://www.food.gov.uk/multimedia/pdfs/hijikipressreleasejap.pdf
- 日本語版FAQ http://www.food.gov.uk/multimedia/pdfs/hijikiqandajap.pdf
この日本語版が結構可笑しい。英語版をそのまま訳したんだろうが……
この種の海藻が食品に使用されることはまれで、黒くて、小片からなるという特色ある外見のために、他種の海藻とは、明瞭に見分けがつきます。
あの……日本語版読む人にとっては「食品に使用されることはまれ」なんてことはないと思う……
ヒジキは、主として、伝統的な日本料理を供するレストランで、突き出しや前菜として使われていますが、寿司には使われません。
……「寿司には使われません」って…………日本食といったら寿司なんだろうなぁ……